坂井 素思 (さかい もとし)
- 放送大学教養学部「社会と産業」コース客員教授(〜2025年3月)
- 担当科目:
ラジオ科目「経済社会を考える」(〜2025年3月) - オンライン科目「椅子クラフツ文化の社会経済学」(〜2025年3月)
- オンライン科目「時間を究める」(ゲスト参加)(〜2027年3月)
面接授業科目「『時間を究める』を読む」(長野学習センター2024年6月) - 放送大学大学院「社会経営科学プログラム」客員教授(〜2026年3月)
- 担当科目:
ラジオ科目「社会的協力論」(〜2026年3月) - オンライン科目「『貨幣・勤労・代理人』文献購読」(〜2025年3月)
- 修士課程研究指導(〜2025年3月)
- 博士後期課程研究指導(〜2025年3月)
社会経済学を専攻しています。広領域では、産業社会や消費社会などの経済体制・経済制度を研究 していますが、狭領域では二者間・三者間の社会的協力論、日用品(とりわけ椅子)、社会時間などの社会経済学的研究を行なっています。
学問の場をあそび場(playground)と喩え、「無為な好奇心(idle curiosity)」をつねに追究し、研究へ持ち込もうとしています。「学問は遊びだ」と言うのが信条です。経済学をはじめとする学問に添いつつも、むしろ型にはまらない多彩な思考を試行する研究態度を目指しています。子どもの遊びに共通してみられる、「知りたいという好奇心を持つこと」「理解する喜びを感じること」「伝えたいという気持ちを持ち続けること」というムナーリの3つの言葉を、研究生活のモットーと考えています。1者が好奇心を持って対象を見つけることは大切です。2者が相互に理解し合えればより結合された認識を行えます。さらに3者の間で伝え合うことができれば、総合的な構想をなしえるでしょう。このように、3つのモットーは、社会関係を推論するときに使用する「1者関係・2者関係・3者関係論」に準えています。
1者関係と2者関係が優越した、近代社会における組織経済の限界に注目し、この近代社会の失敗を説明するために、「1者関係・2者関係・3者関係論」という推論を導入しました。制度学派の研究手法を採用し、市場理論と公共経済理論に批判的な立場から、「社会的協力論」を提唱しました。
従来の経済学では、市場メカニズムと公共経済メカニズムが重要な役割を果たしており、古典的な市場理論やケインズ経済学がその代表とされてきました。これに対して、近代社会が示す組織的な限界を明らかにしており、このため産業社会におけるオルソン理論やエージェンシー論を組み込み、より多様で多層的な制度的側面の存在することに注目しています。
「1者関係・2者関係・3者関係論」という推論形式を用いて、近代社会の3つの関係性タイプを提案しています。それは、「一者関係」としての官僚的支配と技術的拡大、「二者関係」としてのサービス経済化やビジネス経済の求められる関係、「三者関係」としての社会の信頼性と社会的ネットワークです。つまり、権力は一方向の人間関係を形成し、貨幣は相互的な人間関係を築き、信頼は全体給付的な互酬的な人間関係を構成していると考えます。これらの関係性タイプにおいて、社会メディアとしての権力、貨幣、信頼が人間社会の相互作用と構造において重要な役割を果たしていると考えています。このような理論は、著書『経済社会を考える』『社会的協力論』などにまとめられています。
経歴
1950年 長野県に生まれる
1975年 横浜国立大学経済学部理論経済学科卒業
1977年 東京大学大学院経済学研究科修士課程修了
1980年 東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得
現在 放送大学教養学部名誉教授、人間科学博士(大阪大学)
専攻 社会経済学、産業社会・消費社会論、椅子クラフツ文化の社会経済学
詳細は、reseachmapをご覧ください。→こちら
主な著書
単著
『経済社会論』(1990)
『家庭の経済』(1992)
『経済文明論-産業社会の制度的起源を探る』(1994)
『経済社会の現代-消費社会と趣味(テイスト)の貨幣文化』(1998)
『産業社会と消費社会の現代』(2003)
『経済社会の考え方』(2007)
『社会経済組織論』(2010)
『社会的協力論』(2014)
『社会的協力論(改訂版)』(2020)
以上、放送大学教育振興会
『貨幣・勤労・代理人 社会文明論』(2017) 左右社
『椅子クラフトはなぜ生き残るのか』(2020) 左右社
以上、左右社
共著・分担執筆・編著
『比較経済・経営・社会』(共著 1986)
『家庭の経済』(共著 1988)
『経済思想』(共著 1992)
『高齢化社会の生活と福祉』(共著 1992)
『変動する日本社会』(共著 1993)
『社会科学入門-社会の総合的理解のために』(編著 1997)
『変動する社会と暮らし』(共著 2002、改訂共著2007)
『情報と社会』(共著 2005)
『消費者と証券投資』(編著 2007、改訂共著2011)
『市民と社会を考えるために』(共著 2007、改訂共著2011)
『市民と社会を知るために』(共著 2008)
『市民と社会を生きるために』(編著 2009)
『社会の中の芸術』(編著 2010)
『格差社会と新自由主義』(編著 2011)
『グローバル化と私たちの社会』(共著 2015)
『多様化するキャリアを考える』(共著 2015)
『音を追究する』(共著 2016)
『色と形を探究する』(共著 2017)
『日本語アカデミックライティング』(共著 2017)
『都市と農山村からみる身近な経済』(共著 2018)
『経済社会を考える』(編著 2019)
(以上 放送大学教育振興会)
『なぜ椅子をつくるのか』(2021) motoshimonbooks
主な論文
「経済進歩と社会倫理」(季刊現代経済)
「交換論の試み」(放送大学研究年報)
「家計原理と家族」(家計経済研究)
「制度的なるものと制度的ならざるもの」(放送大学研究年報)
「『価格破壊』現象と大衆消費社会」(季刊家計経済研究)
「貨幣現象としての貯蓄と家計組織」(季刊家計経済研究)
「贅沢消費論」(放送大学研究年報)
「不在所有・不在消費・不在生産の近代経済社会」(放送大学研究年報)
「生活政策論序説」(放送大学研究年報)
「生活政策と中間組織」(放送大学研究年報)など
研究誌・機関紙発行
『社会経営研究』
『社会経営ジャーナル』
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