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社会的協力論

 今回の大学院科目では、「協力学」という新しい社会科学分野を開拓する試みを行いました。
 人びとがなぜ協力し合うのか、この行動の基礎には何があるのかを知りたいと思ったのです。交換モデル、支配モデル、互酬モデルとして知られてきた、近代の協力活動が、どのように生成され、どこに限界があったのかを追究しました。
 とくに力を入れたのは、テキストとそれに加えて、ラジオのインタビューです。横濱ジャズプロムナード、所沢市役所、横浜名画座ジャック&ベティ、神奈川県庁、赤十字社、合同会社たすたす、松本クラフトフェア、武雄市図書館、宮城県亘理町苺農家、琉球大学保健学科、板橋区介護ケアチーム、松本サイトウキネンなどに見られる協力活動を巡って歩き、取材録音を長時間行い、これら協力活動の事例が伝わる工夫を行っています。
 わたしたちが行っている日常の協力活動が、どのような基本的性格を持ち、どこに問題があるのかを、これら事例のインタビューを聴きながら、一緒に考えていただけたらと思っています。

 

 

経済社会を考える

現代の経済社会の変化について考える科目です。人間の経済社会には、生産者の社会と、消費者の社会の二面性が存在します。生産者の社会では、ホモ・ファベル(作る人)が真面目で勤勉さをみせ、労働に励み製品を作り出すことに邁進しています。他方消費者の社会では、余暇や快楽をモットーとして、消費するホモ・ルーデンス(遊ぶ人)を生み出しています。さらに、生産者と消費者は相互に有機的に結びつく社会を形成してきています。この科目では、これらの社会が近代から現代にかけて、どのような変化を見せるのかについて、考えていきます。
 

 
 
 

椅子クラフツ文化の社会経済学

椅子をはじめとする「クラフツ生産」が現代に示す社会文化には、どのような特徴があるのかをこの講義では捉えます。具体的には、椅子クラフツ(家具工藝)を中心にして、生産、消費、流通、労働などのプロセスを追うことによって浮かび上がってくる、現代経済社会の特徴を具体的に考察します。なぜ椅子をつくるのか、椅子に何を求めるのかなどについて明らかにしていきます。